大学を3年で卒業!早期卒業制度を勝ち取った先輩が成し遂げたこと(後編)

今回は、東進衛星予備校 玉名寺畑校の大先輩!竹下大貴先輩を紹介します。

早期卒業制度」をご存知でしょうか。

4年間の大学課程を3年あるいは3年半で履修し、学士の学位を取得するというものです(大学3年次終了時に大学院に進学する「飛び入学」とは異なります。飛び入学制度では大学は中退扱いとなります)。

あまり知られていない制度ですが、この制度を導入している大学は一定数あり、挑戦している学生さんもいます。しかし、短期間でたくさんの講義をこなしていかなればならない厳しさから、断念する人も多いのです。

今回は、大分大学理工学部で早期卒業を成し遂げた竹下大貴さんにお話を伺いました。

大学の授業に大学院入試、さらにバイトやサークルと休む間もない日々を走り抜ける竹下さんの信念に迫ります。

竹下大貴さん
大分大学 理工学部 電気電子工学コース 大学4年生。大学2年次に大学3年生の内容まで履修し、大学4年に進級できる早期卒業制度を活用し、早期卒業予定。春からは九州大学大学院に進む。熊本県立玉名高校出身、東進衛星予備校 玉名寺畑校で指導を受ける。

高校時代や大学入試について語っていただいた前編はこちら

工学と医学の融合分野で自分の夢をかなえたい

――電気電子コースって、どんなことを勉強するんですか。

【竹下】高校で習った物理などの延長線上のことですよ。電気回路とか、電磁気とか。それが場所によってどう変わるのか、つまりリアルの世界で考えたらどういうことが起こるかといったより専門的なことを勉強しています。
例えば、「ケーブルの長さが何メートルだと一番電力の損失を少なく送電できるのか、理想的な長さはどのくらいなのか」が計算できたりします。ただ、電磁気は見えない世界の話なので、日常のことでイメージしてもらうというのは難しいです。実際にこの分野に入ってみると見えてくることがたくさんあると思います。

――いま実際に研究されているのはどんなことですか。

【竹下】いまは電磁気にまったく関係なくて、プラズマの研究に取り組んでいます。僕がやりたかった研究で、医療技術にプラズマを応用させる研究をしています。これが実現できれば、患者さんの苦痛を和らげることができるので、とてもわくわくしています。

――それが電気電子コースでできるんですか。

【竹下】そうなんです。プラズマが材料として使えるんです。電気分野と医学が融合している感じです。プラズマってすごいんですよ。この話をし出すと長くなっちゃいますけど、プラズマ、本当にすごいです。

――プラズマの魅力って、何なのですか。

【竹下】プラズマでできることとして、例えば、細胞にプラズマを当ててがん細胞だけを自滅させる、といったことができます。この方法だと、まわりの正常な細胞は影響を受けずにがん細胞だけがなくなるんです。いまあるレーザーの治療って、やっぱりがん細胞の周りの正常な細胞にも影響があるんですよ。プラズマなら、患者さんに低負担な治療ができます。あと、他にも、みかんにプラズマを当てて成長を促進させるものもあるんですよ。

つまり、プラズマって、いいところにはいい影響を与えるし、悪いところはそれがなくなるように誘導することができるんです。…原理はちょっとアレなんですけど。

――プラズマって……光ですか? 要は何になるんですか。

【竹下】正イオンと電子の集合体です。酸素だったら、酸素のイオン、水素なら水素のイオン。原子がイオン化したものです。正イオンと負のイオンの集まりです。

――えーっと、物体として存在しているんですか。

【竹下】気体みたいなものです。でも、光を出すので目には見えます。“励起子状態”っていう状態になるときに光を出す性質があるので、プラズマは光って見えるんです。

――ああ! なるほど。おもしろい! それで、竹下くんとしてはプラズマの「いい効果がある」ところにひかれた、ということでしょうか。

【竹下】そうですね。もういいことだらけなんですよ、研究って。わくわくします。あとは、もともと自分が医療関連のこともやりたかった、というのもあります。薬学部志望だったんですよ。僕が幼いころ母親が病を患ったことがあり、その時から、苦しむ人を減らしたいという思いはずっとあったんです。電気の研究をしていくうちに、医学に絡んだ研究もあると知って、「やりたい」と思ったんです。

【中村】がん細胞を死滅させる技術は、実用化はまだなの?

【竹下】まだまだです。研究段階ですね。実用化されるとしたら10年後ぐらいですかね。

――電気電子と医療が結びつくなんて、イメージがなかったですね。

【中村】10年後って言ったら、僕たちもちょうどいい具合にがんになっているかもしれない(笑)。治験に協力したいです(笑)。

【竹下】(笑)。僕もまだまだ勉強中なので、いま話したことに間違いがあったらすいません。

授業も試験も院試も、そしてTOEICもこなしてきた

――九州大学では、いまおっしゃった研究ができるということなんですね。

【竹下】はい。九州大学は研究ありきで選びました。それに、大学に入ってからずっと「将来は九大の大学院で頑張ります」と言っていたので(笑)。

――リベンジということですね。

【竹下】そうです。リベンジが叶ったので良かったです。

――それにしても、研究ができるところが近くにあったのは良かったですね。

【中村】でも、例えば東北大でしか研究できなかったとしても、竹下くんはそこに行っていた気がするけどね。

【竹下】行っていましたね。

――ちなみに、院試はいつだったんですか。

【竹下】7月2日か3日だったと思います。GPAとTOEICの点数が満たされていれば、口述試験だけで受けられる試験があったのでそこに出願しましたが、期末試験もあったし、とにかくいろいろありすぎて……。

――普通の試験も院試の勉強もして、ストイックな生活ですよね。

【竹下】ストイック生活、そうですね。

【中村】TOEICは何点ぐらいなの?

【竹下】830点です。

【市川・中村】ええ?! すごい!

【竹下】2カ月で取らないといけなくて……。出願の締め切りに間に合うラストチャンスが5月29日だったんですが、それまでずっと早期卒業のための勉強をしていたからそんなこと知らなくて、言われてすぐTOEICの申し込みをしました。2カ月間しか勉強期間がなかったけれど、バーっと勉強して、院試の出願に間に合いました。

【中村】初めてTOEICを受けたの?

【竹下】初TOEICです。

【中村】すごい、やっぱりとんでもないね。

――英語はもともと得意だったんですか。

【竹下】得意でした。

【中村】だとしてもすごい。底力がすごいね。だからやっぱり、竹下くんが大学入試で苦労したのが、本当に意味が分からない(笑)。でもあのとき、すんなり第一志望に合格していたら、この人生ではなかったかもしれないね

【竹下】なかったと思います。普通に4年間大学に通って、それで院試を受けていたと思います。

【中村】ハングリーさは生まれなかったかもしれない。

【竹下】かもしれないですね。あ、中村先生もいらっしゃるからぜひお伝えしたいんですけれど、東進で学んだことが、TOEICの時にすごく生きたんです。

【中村】(笑)。

【竹下】東進で計画性がすごく身に付いたんです。東進の「合格設計図」、あれをもとにして毎月、毎週、どの授業を受けるか、自分で選んでいくじゃないですか。そういうところで計画性が身に付きました。
自分は計画を立てるのが苦手だったけど、先生などにアドバイスをもらいながら、「今週はこれを勉強する」、「このタイミングでこの授業を受ける」など、計画を立てて勉強できるようになったんです。そこからは、大学入学後も絶対に計画を立てるようにしていたし、TOEICのときも、計画的に7冊ぐらいの参考書を2カ月で終わらせることができました。

【中村】いやあ、それは良かったです。

挑戦して、積み重ねて、そして今がある。だからこれからも厳しい道を選ぶ

――早期卒業を目指したのは、それだけ早く研究したかったからなんですよね。

【竹下】そうですね。それに、博士後期課程まで進むとなると、学部を出てさらに5年間。それは大変だから、1年ちょっと短縮できるならそのほうがいい、と思ったので。

――そもそも、研究をしたいと思うようになったきっかけがあるんですか。

【竹下】理系に進んで、実際に具体的な進路選択をしていく段階で、「研究っていいな」とは思っていたんですよ。でもあまり深くは考えていなかったんです。電気コースのプラズマの研究を知って、「プラズマのことをやりたい」という気持ちで大学に行ったけど、将来はどこかの企業に就職しないといけないと思っていたから、研究をするっていうイメージつかなかったんですよね。「とにかく研究がしたい」という気持ちはあったんですけど。それで、大学2年生ぐらいのとき、先生に相談したら、「研究者という道もある、そっちに向いているんじゃないか」とおっしゃっていただきました。アカデミックのポストで働きたいという気持ちが、そこではっきりしました。

――そうやって助言してもらえて良かったですよね。

【竹下】本当に良かったです。すごく満足しています。

――竹下さんのモチベーションの根源は何だと思いますか。

【竹下】モチベーションというより、もともと挑戦し続けようと思ってわざときつい道を進んでいるんです。早期卒業も、授業数が多いからもしかしたら単位を落としてしまうリスクがある中で、自分を追い込みながらやり続けたらここまで来ていました。ずっと、ひたすら挑戦し続けることだけを考えてやってきました。

――挑戦し続けたり、あえてきつい道に行こうしたりするのは、昔からそうなんですか。

【竹下】そうですね、挑戦は、もうずっと続けています。チャンスがあったら絶対飛び込むべきだと思っています。「悩むなら進む」と思ってきました。「それで失敗したとしても、自分が成長できるだろう」と考えながら、必ずきつい道を選んでいます。

【中村】すごい。かっこいい。やっぱり竹下くんをインタビューに呼んで良かった。

――そういった考え方にご両親の影響は何かありますか。

【竹下】いえ、自分の性格ですね。でも両親は、すごくサポートしてくれて、「なんとかなる」と言ってくれるので、自分は「挑戦してみよう」と思えるのだと思います。

――「あの時こうしておけば良かった」と思ったりはしませんか。

【竹下】いままでのことで、後悔は全然していないです。すべては積み重ねで、いままでの選択があるから、いまこうしていられるのだと思っています。

編集後記

竹下先輩は、東進衛星予備校 玉名寺畑校の大先輩です。
東進生時代は、勉強好きでとても頑張っていました。だからこそ、第一志望校である九州大学を諦めなければならなかったときは本当に全員がビックリでショックでした。

しかし、そこから気持ちを切り替え、大分大学で一生を賭けて実現したい志を見つけ、努力を続け、早期卒業制度を勝ち取り、志を実現するフィールドに立った竹下先輩は本当に凄いと思います。さらにはリベンジで九州大学大学院に合格もしました!

竹下先輩は、みなさんと同じ玉名高校生です。必ず皆さんも出来ます。
高3生はこれから入試本番になっていきますが、諦めず最後まで一緒に戦い抜きましょう!

前編はこちら

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